一般社団法人与信管理協会

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与信管理用語解説

与信管理用語集 あ行(解説)

安全性(健全性)(あんぜんせい)

企業の支払能力を示します。自己資本比率、内部留保、借入依存度、または担保に提供できる資産の有無などから判断することができます。

 

異業種取引(いぎょうしゅとりひき)

注意をすべき取引形態の一つで、業界の異なる相手との取引をいいます。業界が違うと、同じ業界内のように情報をきめ細かに入手して相手の信用状況の変化を察知することができないため、いざという時の対応が後手に回ってしまいます。訪問回数を増やしたり、相手の業界内の第三者からの情報収集等を行い、相手先の状態を常時把握できる体制を整えることが必要であり、これができないようであれば、取引の回避も検討する必要があります。

 

一般取引先(社内用語)(いっぱんとりひきさき)

取引先の内、問題のある先や政策的に取引を行う先以外の「一般的な取引先」のことを指します。

 

印鑑証明書(いんかんしょうめいしょ)

押印者の印鑑(印影)が、予め所轄官庁に届け出されているものを同一であることを証明する書面のことです。官公庁により発行されます。通常、印鑑届をした印鑑を実印といいます。文書の作成が本人の意思に基づくことを証明することができるため、特に重要な契約書への押印は実印で行い、印鑑証明書を添付するのがベストです。

 

受取手形(うけとりてがた)

取引先から売上代金の回収や、貸付金の返済のためなどに受け取った約束手形または為替手形のことをいいます。このうち、取引先が自ら振出した手形を単名手形といい、第三者が振出し、その取引先が裏書譲渡した手形を廻り手形といいます。また、受け取った後の処理の違いによって、支払期日まで持っている手持手形、裏書がなされた裏書手形、割引を行った割引手形に分かれます。

 

裏書譲渡手形(廻り手形)(うらがきじょうとてがた)

取引先が買掛金等債務の支払いのために、他社から受け取った手形を裏書(手形の裏面に書かれている会社が支払人となることを明記すること)して転譲する手形のこと。廻り手形ともいいます。手形振出人が決済不能となった場合、裏書人に支払義務が生じるため、裏書手形の入手に当たっては、手形振出人の信用状態と同時に他の裏書人の信用状態に注意(裏書人に取引と無関係の会社や個人が連なっていないか等、裏書の連続性もチェック)する必要があります。

 

売上総利益(うりあげそうりえき)

売上高から売上原価を引いたもので、「粗利益」とも呼ばれます。商品やサービスの持つ付加価値を示しており、企業の利益の源泉です。

 

売上高営業利益率(うりあげだかえいぎょうりえきりつ)

商品自体の収益力だけでなく、販売組織の効率性などを含めた収益力を示す指標で、「売上高営業利益率(%)=営業利益÷売上高(年商)×100」で求めることができます。本業における収益力、つまり、会社の実力が分かる指標といえます。

 

売上高経常利益率(うりあげだかけいじょうりえきりつ)

本業の収益力に加え、副業や投資活動も含めた収益力を示す指標で、「売上高経常利益率(%)=経常利益÷売上高(年商)×100」で求めることができます。会社の総合力が分かる代表的な指標といえます。

 

売上高総利益率(うりあげだかそうりえきりつ)

原価に対してどれだけの付加価値をつけて販売できているかを示す指標で、「売上高総利益率(%)=売上総利益÷売上高(年商)×100」で求めることができ、「粗利益率(粗利率)」とも呼ばれます。取り扱う商品や製品そのものの魅力の高さ、つまり、商品力が分かる指標といえます。

 

売上高利益率(うりあげだかりえきりつ)

売上高に伴ってどれだけの利益を上げているかを見る収益性分析の指標で、「○○利益÷売上高」の計算式で求めることができます。「○○利益」には営業利益や経常利益などの各種利益を使用して分析します。値が大きいほど収益性が高いことを表します。

 

売掛債権(うりかけさいけん)

掛取引における未回収の販売代金のことで、売掛金や受取手形がこれにあたります。売掛債権は、将来にわたり自社に収益をもたらす成長の源泉といえます。与信管理をしっかり行うことで、その質を高めることが大切です。

 

売掛債権回転期間(うりかけさいけんかいてんきかん)

取引先との決済条件は簡単には変更されず、売掛債権の額は売上に比例するという発想の下に、売掛債権が月商の何ヵ月分であるかを表す数値のこと。売り上げてから何ヵ月後に回収できるかといった回収サイト(回収期間)を表し、「売掛債権÷(年商÷12)」で算出されます。 売掛債権は未だ換金されていない債権であることから会社の資金繰りを考えた場合、回転期間は短い方が良く、逆に長ければ資金繰りを圧迫するとともに貸倒の可能性も高くなると考えられます。したがって、回転期間の推移を見て、短期化していれば経営努力を行っていることが推測され、逆に長期化している場合は売上の架空計上や、未処理の貸倒債権の混入などを推定することが可能となります。

 

運転資金(うんてんしきん)

企業が事業活動を行ううえで必要な資金のことで、「売掛債権(受取手形+売掛金)+棚卸資産-買掛債務(支払手形+買掛金)」の計算式により算出されます。仕入・生産・販売等の事業活動において、仕入代金の決済よりも先に売上代金を現金回収できれば、仕入決済に必要な資金は不足しませんが、実際には、売上代金の回収より先に仕入代金の決済期日が到来することが一般的です。また、常に一定量の原材料・仕掛品・製品を在庫として保有しておかなければならない業態の企業においては、売上代金の回収前に在庫の保有に必要な資金が不足することとなります。これらの資金不足を埋める資金需要のことを運転資金といい、自己資金または借入でまかなう必要があります。

 

営業利益(えいぎょうりえき)

売上総利益から販売費及び一般管理費を引いたもので、本業であげた利益、つまり“会社の実力”を示します。営業利益の赤字が続く場合は、経営体質の構造的な改善が必要となります。

 

遠隔地取引(えんかくちとりひき)

物理的に距離の離れた相手との取引のことをいいます。電話→FAX→インターネットと通信手段の発達、物流サービスの向上により、物理的な距離は営業活動上のハンディではなくなってきています。しかしながら、物理的に離れた取引では、実際に相手を訪問する回数は限られ、地縁がないことから第三者からの情報も伝わってきません。現地で販売先の信用不安が表面化していたとしても、この手のネガティブ情報は極秘扱いとなるため、地元以外に情報が漏れる頃には、手遅れの状態となってしまう可能性が高く、回収の局面に入っても後手に回ってしまい成果は期待できません。与信・債権管理上は注意をすべき取引形態であり、信用力の高い相手以外との取引は極力避ける必要があります。

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